• Coto

針を落とす

夜中だけれど涼しいので窓を開けてレコードを聴いてみた。

東ドイツ時代の初期盤がメインの、我が家のクラッシックレコード。

そんな激渋コレクションがうちにある理由は、

これをくれた人がバイヤーで、自身のコレクションがCD化されるほどのコレクターだったから。

クラッシックの初期盤に関してはたぶん世界でいちばん詳しいと思う、と豪語していたのは、

その偏執的と言っていいほどの執着やこだわりからするとあながち嘘ではないのだと思う。

よくイントロクイズを出題させられてた。

間違えたことはほぼないし、パリやベルリンのレコード屋さんに行った時は、

大量のレコードから価値があるものを秒速で選んでいた。

レコードの手触りで年代がわかったり、ジャケットを見ればいつどこの国で最初に出たレコードかがわかったり、

デザインとか色とかで初期盤かそうじゃないかがわかったり、とにかく情報量がすごい人だった。

本当に好きなんだろうな、と思う。

最近よく好きなことが仕事になって、ものすごく知識があって、

その話をする時に本当に楽しそうな人、というのを何人か見たんだけど、

そういう人はとても素敵だと思う。なんかキラキラしてる。

じゃあ私はどうだろう。

考えてみたら、私写真の何が好きなんだっけ?という疑問に行き着いた。

私が好きなのは、写真なら自分が感動したすぐ忘れてしまうようなささやかな美しさを形にして残せること、

現実の景色を自分の世界観に落とし込めること、そして感動を人と共有できること、だ。たぶん。

それと知識はあまりつながらないから、あんなふうに好きなことをキラキラ語れる人になれるかどうかわからないけど、

もうちょっと「好きなこと」の好きなことに積極的になってもいいのかな、と思った。

レコードはすぐに曲が終わるので、ひっくり返したり交換したり忙しい。

新聞配達のバイクの音が聞こえ始めた。

日々雑音はうるさいけれど、私は私の好きを生きていく。

ほんとに、生きていこう、と、思う。


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